院長ブログ

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2014.04.07

アトピー性皮膚炎の漢方軟膏が・・?

 近頃、横浜市の診療所で、中国人医師(?)の手により調製されていたとされていた「漢方軟膏」にステロイド製剤が混入していたとのことで、通院しておられた患者さんらが、大混乱を起こしているとの報道を知りました。たった5gが、¥4,000-もする軟膏って・・
 またしても、「アトピービジネス」がみつかりましたね。「アトピービジネス」とは、「アトピー性皮膚炎」はステロイドを使用しなくても、「ある薬品」や「方法」あるいは「こういう特殊な食事」で良くなりますよという「商売」です。
 現在、アトピー性皮膚炎に対しては、「診断ガイドライン」や「治療ガイドライン」があり、ちゃんとWebサイトにも掲載されています。
 「ガイドライン」の中味には、正しいスキンケアが大切なことや入浴や皮膚洗浄などで皮膚をきれいにすることが最も基本になること、適切な強さと量のステロイド軟膏を使用すること、免疫抑制作用のある軟膏への切り替えや、時として免疫抑制剤の使用をすること、アレルギーに対する抗アレルギー製剤の使用をベースにすることや生活空間や居住空間におけるダニおよびダニの死がいなどに対する「抗原除去」の大切さなどが事細かく記載されています。
 つまり、「アトピー性皮膚炎」に対しての基本治療薬は、石鹸を使用した「正しいスキンケア」、そして「抗アレルギー剤」と「ステロイド軟膏」そして「皮膚浸潤剤」が基本であるということです。
 ステロイド軟膏の選択や使用量は、皮膚の薄弱化や感染をおこしやすくなる、ステロイドによる脱色などの副作用があるため、なかなか難しいのも現実ですが、患者様とともに医師はその皮膚炎の状況を時々刻々に観察しながら、治療を進めていきます。
 まずは、皮膚の炎症による「赤み」や「かゆみ」があるときは、恐れずに医師の指導のもと、正しいスキンケアをしながら、「ステロイド軟膏」と「皮膚浸潤剤」を使用されることが大切です。
 現在では、補助療法として、「酸性水での皮膚洗浄」や小腸における免疫抑制という観点からの「乳酸菌」服用療法なども一部では試験的に実施されていますが、まだまだ臨床例が少ないために、ガイドラインには掲載されていません。
 「正しいスキンケア」の基本は、「熱い温度での入浴は避けて」、「石鹸を使用して体を洗うこと」、「ごしごしと皮膚をこすり洗いしないこと」、「入浴や皮膚洗浄後は、アイスノンなどでよく冷却すること」「その後に保湿剤などを塗る」ということです。
 世の中の「アトピービジネス」はいろいろとあると思いますが、一部の患者様が上手に治ったというものには、多くが「ステロイド」ならびに「ステロイド前駆体」「ステロイド類似物質」が絡んでいることが多いと思います。また、ステロイドとは無関係で、一時は良くなったという治療法もあると聞いていますが、なかなか完全な「コントロール」ができていないというのが、現実からみた医師としての印象です。
 正しい知識で、適切な治療を行なうことや、面倒がらずに根気よく医師に診療を受けることが大切です。
 


 
 

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